動画などのやりとりも可能な第三世代(3G)携帯電話。中国も独自規格「TD-SCDMA」を開発したが、技術が未成熟なためか、昨年末ともいわれていた3G免許は未だ交付されていない。「実用化するにはもう時間切れ。海外規格に市場を開放せよ」との苛立ちの声が中国国内から上がっている。発端は今年一月に清華大学の胡鞍鋼教授が発表した「中国3G世紀報告」。胡教授は「規格を独占させると開発した企業に利益が集中するだけ。外国にも門戸を開放すべきだ」と批判したのだ。 TD-SCDMAは二〇〇三年から本格的に開発が始められた。中国では「海外に支払う3G特許使用料は理不尽に高い」(シー国華情報産業省副大臣)という不満が根強く、このTD-SCDMAは二〇〇二年十月のまだ実験途中の段階で政府から認可を得るなど、「外資系にリードされてきた携帯電話の分野で、特許に縛られない製品開発ができるのでは」との希望を集めていた。すでに大唐電信や米UTスターコムなど中国内外の五十社が「TD-SCDMA産業連盟」を設立している。 しかし、欧米や日本ですでに実用化が進み、技術が確立されている3G規格のW-CDMAやcdma2000に比べると、端末や通信設備の生産技術が確立していないほか、「新しい規格の通信事業を一からやるだけの資金的余裕のある企業はない」(中国新聞網)との声も上がっている。

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