「ポスト小泉」の候補に擬せられる自民党の二人。はたしてワシントンではどう評価されているのか。[ワシントン発]五月はじめに訪米した安倍晋三自民党幹事長代理は、チェイニー副大統領、ライス国務長官、ラムズフェルド国防長官、スノー財務長官、アナン国連事務総長、グリーンスパン米連邦準備制度理事会議長、アーミテージ前国務副長官らと相次いで会談する異例の厚遇を受けた。ワシントンのブルッキングス研究所で講演した際も、ウィリアム・ブリア戦略国際問題研究所(CSIS)日本部長、ラスト・デミング元国務次官補代理、ナサニエル・セイヤー・ジョンズ・ホプキンズ大学教授らおなじみの日本専門家をはじめ、クリントン前政権の高官や保守派の論客、経済・貿易専門家らがこぞって詰めかけた。 言うまでもなく、日本の首相を選ぶ「投票権」はアメリカにはないのだが、ある意味重要なこの「選挙区」で、安倍氏は「ポスト小泉」に向けた選挙キャンペーンの快調な一歩を踏み出したといえる。 長旅の疲れを見せることなく演台に立った安倍氏は、自らの発言を簡潔にとどめ、四十五分間を質疑応答に当てた。しかも予想を裏切って経済問題に長い時間を割き、安倍氏は経済に関心がないというワシントンの懸念を払拭した。逆に、事前に準備された講演メモにはあった北朝鮮のミサイル発射や拉致問題に触れなかったことも注目された。というのも、ほとんどの聴衆は安倍氏が訪米の機会を使って国粋主義的なところを見せるに違いないと予測していたからだ。

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