五月に大規模な反政府暴動が起きた中央アジアのウズベキスタンで、イスラム・カリモフ大統領が独裁体制の終焉に備え、密かに準備に入ったという。 大統領の娘で、モスクワのウズベキスタン大使館に勤務していたグリナラ・イスラモブナ・カリモワが、暴動の直後に帰国した。モスクワでの肩書きは大使顧問だったが、プーチン政権との極秘の連絡役も務めていたという。 消息筋によると、万が一の事態を想定したカリモフ一族が、グリナラを中心に、いつでも資産の海外逃避ができるように整理を進めているとの情報がある。グリナラは大統領の信任が厚く、ロシアやウズベキスタンで携帯電話などの大型ビジネスに従事。一族の「金庫番」の役割を担っている。 カリモフ大統領はウズベク人ではなく、サマルカンド出身のタジク人。ウズベク人のエリート社会では、富と権力が集中するカリモフ一族への不満が鬱積しており、いったん政変が起きれば、大統領一族に対する報復は過酷を極めたものになる恐れがある。 カリモフ政権崩壊の際には、グリナラがすでにモスクワに購入済みの豪邸が、一族の避難先になるとみられている。

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