質問 「現在の日本において、政治システムを変えることは可能ですか」

 

 先日、エジプト政府が軍によって倒され、憲法が停止されました。関連して、次のような質問が届きました。「日本では、政治システムを根本的に変更することは可能なのでしょうか。国民の不満が現行の政府を倒すといったことは、政治システムが不安定だった過去の国家や、発展途上国でしかありえないのでしょうか?」。

 なかなか難しい質問です。エジプトで今回起きたのはいわゆるクーデタという事態です(クーデタとは何か、そして革命とどのように異なるかについては、後ほど論じます)。現在の日本においてクーデタが生じうるか、そしてそれが望ましいことかと問われれば、いずれもNoとしか答えようがありません。

 もちろん、かわぐちかいじの漫画『沈黙の艦隊』をはじめ、フィクションの世界では、自衛隊によるクーデタものは、一定のジャンルとして確立しているようです。とはいえ、質問された方の意図は、現代日本におけるクーデタの可能性とは別のところにあるようにも思えます。

 

「クーデタ」という言葉に込められた意味

 ちなみに、クーデタというのは、面白い言葉です。元々はフランス語で(Coup d’Etat)、「国家への一撃」を意味します。“coup”は、文字通り、「パチン」とたたくことです。国家機関の一部であるはずの軍隊が、非合法な手段で政権を打倒し、憲法を停止するなど現行の政治システムの改変を試みることを指します。

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