「とにかく二〇〇五年度は交付税の総額を確保することが大事だった。理由なんかどうだってよかった」 三位一体改革に伴う地方交付税改革で財務省との折衝がひとまず決着した昨年末、ある総務省幹部はあけすけに本音をさらけだした。「地方分権」を掲げる総務省は折衝の一方で、国土交通省や厚生労働省など補助金官庁に対して、ヒモつきの補助金行政をやめて財源を地方に渡すよう主張して全面対決。結局、〇五年度の交付税総額は前年度比〇・一%増加の十六兆八千九百七十九億円を確保し、霞が関で一人勝ちした。「地方への配慮」を前面に打ち出した総務省の真の狙いは、交付税をなりふりかまわず守り抜いて地方支配の原動力を維持することにあった。 総務省には“引けない理由”があった。〇四年度予算で、地方交付税と将来の交付税で元利償還分の一部をまかなう臨時財政対策債(赤字地方債)とが、合計で一気に二・九兆円も減額され、片山善博鳥取県知事などから「一方的に交付税をカットし、国と地方の信頼関係を壊した」と猛反発を招いていたためだ。 だが、今春発覚した大阪市職員に対する常識外れの厚遇問題は、「国と地方の信頼関係」の美名のもとに総務省が甘やかし続けた地方財政の内実を白日の下にさらした。これを受けて五月十八日の経済財政諮問会議では財務省が交付金の総額抑制を強く迫ったが、総務省が維持の姿勢を崩すことはなかった。

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