英仏海峡トンネルを運営するユーロトンネル社の株主総会は六月十七日。昨年はフランス人を中心とする個人株主が結束して「クーデター」を起こし、英国人の社長ら経営陣を追い出した。だが、今年はその個人株主同士の対立が表面化し、またもや大荒れの総会になる見通しだ。 五月二十四日付の英フィナンシャル・タイムズ紙の最終面。「ユーロトンネルの株主へ」と始まる大きな広告記事が掲載された。内容は、総会でジャック・グーノン会長を承認し、同氏が経営再建のためのカギとなる債権銀行団との債務削減交渉を続けられるよう求めるものだった。同時に、債権団が求める債務の株式化の受け入れを要求。広告主はユーロトンネルの株主と記されているだけで、謎の広告主の正体は不明のままだ。 これには伏線があった。株主クーデターの中心人物である仏実業家のニコラ・ミゲ氏が自分の意向に沿わない同じ仏出身のグーノン会長の承認を拒否し、自らこのポストに就こうという「第二のクーデター」を画策しているからだ。自ら推したジャンルイ・レーモン社長も十日に辞任、会長との対立は深刻化している。 これに対し、昨年の総会でミゲ氏と組んだ「少数株主を守る会」はグーノン会長の支持に回っている。グーノン氏は銀行団が無条件で債権を放棄し、現在九十億ユーロを超す有利子負債を三十三億ユーロまで減らしてもらう方針で交渉。経営陣が代われば、ミゲ氏主導になるだけでなく、交渉が振り出しに戻ることを危惧しているからだ。

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