ファハド現国王の体調悪化が切迫感をもって語られる中、「スデイリ・セブン」との対立を解消したアブドラ皇太子が積極外交を開始した。 五月下旬、サウジアラビア・ファハド国王の健康悪化が各国メディアで一斉に報じられた。サウジ国営通信は「入院後の経過は良好」と発表したが、「何度も意識を失っている」と伝えるアラブメディアもあり情報は錯綜。ロイター通信などによると、肺炎をおこして高熱を発した国王は検査の結果、肺にたまった水を抜く処置を受けた。六月に入ってから現在(七月十一日)までは、容態は比較的安定しているようだ。 ただ、ファハド国王は今年で八十四歳。一九九五年に脳卒中で倒れて以降、医師団が最新医療で国王の健康維持に努めてきたが、「万が一」の事態は確実に現実味を増している。特に今年春頃からは、国王の老衰、体力低下を示唆するサウジ政府関係者の発言が目立って増えた。 イラクの専制が崩壊し、中東湾岸では市民の民主化要求が台頭する気運が高まっている。これに向き合うサウジ王家(サウド家)は、まさに歴史的岐路に立つ。国外に目を向ければ、九・一一テロ以降のアメリカは中東湾岸の民主化を至上命題に掲げている。懸案に囲まれながら王位交代が近づくいま、サウド家主要人物たちの動静は、にわかに国際社会の耳目を集めている。

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