アル・カエダから借金する人々

執筆者:2005年8月号

 国際テロ組織アル・カエダがパキスタンなどのイスラム教国で“融資事業”を行なっている。融資を受けた相手が返済に困った段階で組織に取り込むのが狙いで、アル・カエダが融資先に要求するのは隠れ家の提供だ。 インド軍諜報機関のまとめた報告書によると、パキスタン軍は最近、アフガニスタン国境付近の部族支配地域、ワジリスタン南部に陣取る複数の武装勢力に対して計三千二百万パキスタン・ルピー(約六千五百万円)を支払った。これは、武装勢力がアル・カエダから借りたカネの返済資金だという。 この“作戦”を担当したパキスタン軍の中将によれば、軍が資金を提供した武装勢力のリーダーは四人おり、うち二人が千五百万ルピーずつ、残る二人が百万ルピーずつを受け取った。 なお、インド軍のリポートは、部族支配地域の武装勢力とアル・カエダの経済関係について他にも触れている。逮捕されたタリバン指導者の証言によれば、昨年の掃討作戦で死亡した武装勢力リーダー、ネク・モハンマドは、アフガン大統領選の妨害を狙い、一億ルピー以上の資金と武器を複数の武装勢力に提供していた。 背後にいたのはアル・カエダ。ネク・モハンマドは、部族支配地域内でのアル・カエダの兵站を請け負い、ひと財産築いたと目されていたという。

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