五月末に肺の感染症で入院したとされるサウジアラビアのファハド国王の容態は、実はかなり深刻だとの説が強い。 八十四歳といわれるファハド国王は高齢と衰弱のため、これまでにも検査や入院を繰り返してきた。だが、サウジ王室に詳しい中東の消息筋によれば、国王は今回の緊急入院の際、何度か意識を失ったうえ、肺の感染症以外にも深刻な病気が見つかったという。 サウジ政府は国王の容態について「検査結果は安心できる内容で、着実に回復している」(サウド外相)との見解を内外に公表している。しかし同消息筋は、実質的に国政を担当している国王の異母弟、アブドラ皇太子側近からの情報として、「国家非常事態宣言」の布告が準備された節があるとし、国王の容態が予想以上に悪化しているとみている。 容態悪化説のもうひとつの根拠とされているのは、ファハド国王と別居中のジャナン・ハーブ夫人が、国王本人を相手取って英国で起こした財産分与請求訴訟の決着を急いでいるとみられること。ハーブ夫人の関係者によれば、夫人は現実的な考えの持ち主で、友人らに「国王の死期が迫っているので、今夏中に裁判を終わらせたい」と語ったという。

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