八月十八日から中国・遼東半島などで実施される初の本格的な中露合同軍事演習に、ロシアが戦略爆撃機Tu95(ベア)や中距離爆撃機Tu22M(バックファイア)を参加させ、その後、両機を中国軍に売却する方針であることがわかった。 いずれの機体も核兵器の搭載が可能なロシア軍の主力爆撃機。演習では巡航ミサイルの発射訓練などを行なうという。両機が導入されれば、老朽機ばかりの中国空軍にとって、初の本格的な爆撃機となる。 ロシアはこれまで、自国への脅威を考慮し、主力爆撃機の対中売却を避けていた。しかし、欧州連合(EU)が対中武器禁輸解除に動く姿勢を見せていることから、これに対抗するため、ついに戦略兵器の売却に踏み切る模様だ。プーチン大統領も七月初めの中露首脳会談で、胡錦濤中国国家主席に対し「軍事技術交流の格上げ」を約束していた。 バックファイアは冷戦時代に欧州に脅威を与えた爆撃機で、ロシアは約三百機を保有している。航続距離は八千キロと、中国からの米本土攻撃は不可能だ。台湾も近すぎて逆に不向きだが、「日本攻撃用には最適」(西側軍事筋)という。中国は、「対日戦略兵器」として保有する気なのではないかという気がかりな観測が流れている。

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