投資家から集めた資金で不動産を購入し、その賃料収入を分配する不動産投資信託(REIT)。利回りの高さゆえ、運用難に悩む個人投資家や金融機関などの注目を集め、東証に上場している十九銘柄の全体の値動きを示す東証REIT指数も六月、算出以来の最高値をつけるなど活況が続いている。 しかし、このREITブームの火つけ役だった外資ファンドなどが「日本のREIT市場から相次いで撤退し始めている」(米系ファンド幹部)。利回りはまだ大半の銘柄が三%台を確保しているものの、価格上昇とともに低下して二年前に比べれば二ポイント低い水準。REITに組み込む優良物件そのものが少なくなっているにもかかわらず、「日本の大手銀が大量に資金を投入し、バブルの様相を示している」(同前)という。 ある米投資銀行幹部も「どこかの市場が暴落して資金のショートした投資家が日本からマネーを引き揚げたら、日本のREIT市場は一発で崩壊しかねない」と警告する。実際、外資の多くがREITの新規組成をとりやめているとされるが、銀行の不動産融資の膨張は、REIT向け以外を含め、止まる気配がない。これまで本誌でもたびたび取り上げてきたように、一歩間違えば不動産バブルは崩壊する危険性が高まっている。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。