「シリア介入」に反対する米議会の構図

執筆者:足立正彦2013年9月6日

 米議会の上院外交委員会(ロバート・メネンデス委員長)は、上院議員時代に同委員会に在籍していたジョン・ケリー国務長官とチャック・ヘーゲル国防長官の2人、そして、米軍制服組トップのマーチン・デンプシー統合参謀本部議長を証人として迎え、シリアのアサド体制による化学兵器使用疑惑と対シリア武力行使に関する公聴会を9月3日に開催した。翌日には下院外交委員会(エド・ロイス委員長)でも公聴会が開催され、上院外交委員会は4日、対シリア武力行使決議案を賛成多数で承認している。上院本会議は来週にも同決議案について票決を行なうものと見られており、上院で可決された決議案に基づいて下院でも本格的な審議が開始されることになっている。

 上院外交委員会が賛成10票、反対7票の賛成多数で承認した対シリア武力行使決議案は、シリア内戦への米軍の地上部隊投入を禁じるとともに、武力行使の期間にも最長90日間と制約を加える内容となっている。上院外交委員会に在籍する野党共和党の議員3名が同決議案に賛成する一方、民主党議員2名が共和党議員5名とともに反対に回っている。

 賛成票を投じた共和党議員は、アサド体制打倒の必要性を繰り返し訴えてきたジョン・マケイン議員(アリゾナ州)、上院外交委員会の野党筆頭理事であり、2014年中間選挙で共和党が上院で過半数の議席を奪還した場合、次期上院外交委員長就任が確実視されているボブ・コーカー議員(テネシー州)、そして、ジェフ・フレイク議員(アリゾナ州)の3名である。

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