シリアをめぐる水面下の米ロ外交が表面化している。9月9日、ロシアのラブロフ外相は突如記者会見し、シリアに化学兵器を国際管理下に置くように求める提案発表した。

 訪ロしていたシリアのムアッレム外相は、この提案を歓迎する、と記者に答えている。「歓迎」がアサド政権としてのものなのか、そもそもラブロフ提案の策定にアサド政権がどこまで関与していたかも定かではない。

 そしてオバマ大統領は9日のテレビ各局へのインタビューでこの動きを評価し、もし化学兵器を差し出せば攻撃を控えると言明している。オバマ大統領が10日の米国民向け演説で、攻撃への決意と、外交解決の可能性との関係をどのように表現するかが注目される。

 米議会の採決も先送りされそうな様子であり、15日に行われる国連調査団の報告を待つとするフランスの姿勢もあり、攻撃開始はしばらく回避されそうだ。

 ラブロフ提案は、この日、ケリー米国務長官がイギリスでヘイグ外相との会談後の記者会見で、記者の質問に答えた発言に敏感に反応した形だった。問題となるケリー国務長官の発言は、「アサド政権は何をすれば米国の攻撃を避けられるのか?」という記者の質問に対して、次のようにかなり大雑把に答えたものだ。「アサドが来週、全ての化学兵器を国際社会に差し出すことだ。全部を、遅れることなく、差し出せ。そしてそれを完全・全面的に検証するのだ。だが彼はそんなことはしないだろうが。そんなことはできっこない(He could turn over every single bit of his chemical weapons to the international community in the next week. Turn it over, all of it, without delay, and allow a full and total accounting for that. But he isn’t about to do it, and it can’t be done, obviously.)」

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