台湾「総統vs.立法院長」の政争が突如火ぶた
2013年9月10日
9日、台北の松山空港に降り立った時、いつもの緩んだ南国の空気とは違った緊張感が漂っていた。空港設置のテレビの前に人だかりができており、馬英九総統の会見を流すニュースを複雑な表情で見入っていた。
台湾で、久々に大型の政争が突如始まった。国民党の2大巨頭と言える馬英九総統と、国会議長にあたる王金平・立法院長との内紛である。現時点までは、馬総統が王院長の海外滞在という本人不在の機に乗じて、普段の決断力のなさからすると意外なほど素早く王氏排除に動き、優勢に事を進めている。
「口利き」の盗聴結果
発端は先週末に開かれた最高検の特別捜査チームの記者会見だった。野党・民進党の立法委員団団長である柯建銘氏が起訴され、一審で無罪判決が出た会計法違反の事件について、柯氏が王院長に対し、検察が上訴を断念するように「口利き」を頼んだ会話の生々しい盗聴結果が会見資料として配られ、台湾社会が騒然となったのである。
王院長から上訴断念を頼まれて応じたと推察される曽勇夫法務部長(法相)が辞表を提出し、当初は単なる司法スキャンダルで収束するかと思われたが、事態は8日から急展開を見せた。馬総統が、娘の結婚式のためマレーシアに滞在中の王院長に対し、「速やかに帰国して説明を」と呼びかけ、王院長の責任を問う姿勢を示したのである。
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