読者の方から「韓国議員の内乱陰謀疑惑について記事を期待」という投稿を頂きながら回答が遅れました。遅れた理由は、筆者が夏風邪を引いて執筆意欲が減退していたという言い訳に加えて、この統合進歩党の内乱陰謀事件が、韓国の情報機関である国家情報院の在り方をめぐる韓国社会の葛藤と密接に関係し、さらにこれが検察当局と国家情報院の対立にまで発展し、毎日、情勢が動いていることがありました。事態は依然として流動的ですが、現時点での状況を報告させていただきます。

 

内乱陰謀容疑の「統合進歩党」とは

 この章は韓国の学生運動や進歩政党のこれまでの流れについて解説していますが、お急ぎの方は次の章に飛んでいただいても構いません。韓国の左派勢力には2つの大きな流れがあり、そのうちの1つである「統合進歩党」が北朝鮮に極めて近い路線を取っていることさえ押さえていただければ結構です。

 
 

 1980年代に入ると韓国の学生運動では反米自主化反ファッショ民主化闘争委員会(自民闘)と、反米反ファッショ民族解放闘争委員会(民民闘)の2つの大きな流れが生まれた。自民闘は全国大学生代表者協議会(全大協)の執行部を掌握して主流派を形成し、民民闘は反主流を形成した。自民闘はNL(民族解放)派と呼ばれ、民民闘はPD(民衆民主)派と呼ばれた。NL派は北朝鮮の主体(チュチェ)思想の影響を受け、主思派(チュサパ)と呼ばれたりもした。これに対するPD派は社会主義革命路線を基調にNL派の主体思想信奉路線を批判した。

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