統合進歩党の内乱陰謀事件は民革党事件の残党勢力が起こした事件であるともいえる。公安当局が彼らの動向をずっと内偵するのはある意味では当然だろう。

 しかし、この事件の構図を「従北勢力」の事件とだけみるのは少し単純すぎるようだ。国情院はなぜ8月28日というタイミングでこの事件を発表したのだろうか。むしろ、そのことに大きな意味があると思う。

 

組織ぐるみの大統領選介入疑惑

 韓国では昨年12月の大統領選挙の際に、国家情報院の女性職員が野党の文在寅(ムン・ジェイン)候補を批判する書き込みをしていたことが大きな問題になった。警察当局は今年4月18日に、この女性職員など3人を情報機関による政治介入を禁じた国家情報院法違反容疑で書類送検した。しかし、国情院幹部への聴取を見送るなどして、手抜き捜査と批判が噴出した。

 しかし、その直後に、国情院女性職員の書き込み事件を捜査した元ソウル水西警察署のクォン・ウンヒ課長(女性)が、警察上層部から捜査を妨害され、容疑を隠蔽するよう一線の刑事らに圧力が掛けられたとメディアに暴露した。この内部告発で、国情院の選挙介入だけでなく警察のもみ消し疑惑にまで発展した。

 こうした状況の中で、検察当局はネットに書き込みをした女性職員の所属していた国情院の心理情報局の元局長などを事情聴取した。4月29日には事件当時国情院トップだった元世勲(ウォン・セフン)前院長を事情聴取し、翌30日には国情院を家宅捜索するという事態にまで発展した。

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