燃料の使用に炭素税、為替取引にトービン税、飛行機の利用者には移動税、武器販売税……国境を超えて課税されるこれら「グローバル税」の導入をめぐる議論が、九月十四日から開催される国連六十周年特別首脳会談を機に本格化する見込みだ。 シラク仏大統領が主唱し、アフリカを中心とする開発途上国が支持するグローバル税は、昨年九月、国連の経済社会局が導入を正式に提案。開発途上国支援のため、国連のような国際機関に、企業や国に対する課税権を与えようとするものだ。今年一月のダボス会議では、インド洋津波被害者の支援基金に充てるためにも、グローバル税の実現が必要との声が出た。 導入にはフランスの他、ブラジル、チリ、スペインが積極的。一方、米国は共和党、民主党に関係なく、国家の課税権を侵害するとして強く反対している。 ブッシュ米大統領が上院の承認なしにジョン・ボルトン前国務次官を国連大使に任命したのも、グローバル税と無縁ではない。欧州経済問題を担当している下院委員会の関係者は「九月の国連会談でのグローバル税論議を阻止することが、ボルトン大使の最初の任務」とし、「イラク戦争問題に続いて、グローバル税でもフランスとの外交戦争は激しくなるはず」と語る。

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