イラクで反米武装勢力の攻撃に悩まされている米軍が、第一次大戦下、アラブの独立のためアラブ人を指揮して戦った英国人トーマス・E・ロレンス、通称「アラビアのロレンス」から学ぼうとしている。 米国防総省は、ロレンスがかつて中東各地の戦争で用いた戦術や統率方法を高く評価。イラクでの教則として公式採用することを決め、現地指揮官らに、ロレンスの回顧録やエッセイの抜粋をEメールで送った。さらに、指揮官が読むべき本のひとつとしてロレンスの『知恵の七つの柱』を推薦したようだ。 バグダッドの米軍幹部将校は、次のようなロレンスの言葉を復唱するよう部下に指示していると語る。「戦いはアラブ人に任せて、そこそこの成果を上げる方が、周りが介入して完璧な成果を収めるよりもまし。彼らを手助けするだけでいい」。 米軍関係者や戦闘現場を訪れる米政府要人に配布される戦略説明書も最初のページにロレンスの言葉が載った。イラク人の治安部隊と国民政府を確立し、米軍は彼らを後押しすべしとの考えを徹底させようとする国防総省の意図がうかがえる。

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