村上ファンドが株を買い占めているとの情報が飛び交うTBS。東京・赤坂の不動産や時価六百億円相当もの東京エレクトロン株など優良資産を持っていながら株価が割安なことに加え、他のキー局と違って新聞社などの安定株主がいないことが買収ターゲットに選ばれた理由だとされる。 そんなTBSに住友商事が急接近している気配が濃厚だ。住友商事はケーブルテレビや映画館事業に強く、メディアビジネスを手がける情報産業部門は純利益のうちの三割近くを稼ぎ出す成長部門。不足しているコンテンツの拡充を目指して積極的に資金を投入していく方針でもある。 実際、ある住商幹部からは「傘下に入れてもTBSの経営の自主性は尊重する」といった積極発言も飛び出す。この幹部によれば、三井物産もTBSに興味を示しているため、「三井物産との競争に勝つには思い切って買収まで選択肢に含める必要が出てきた」という。 安定株主作りが焦眉の急のTBS側からも、「村上ファンドよりはずっと与しやすい」(TBS関係者)との声が漏れてくる。今後の村上ファンドの動き次第では、住友商事にホワイトナイトとして救いの手を差し伸べてもらうような事態に発展する可能性がある。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。