7月26日に防衛省が発表した「防衛力の在り方検討に関する中間報告」によると、島嶼部に対する攻撃への対処能力の向上のため「機動展開能力」や「水陸両用機能(海兵隊的機能)」を充実・強化について検討するという。

 「海兵隊」という言葉で我々が思い浮かべるのは、米国の海兵隊のことである。しかし、米国の海兵隊は世界的に見れば「例外中の例外」の存在と言わねばならない。海兵隊を有する国家の殆どのそれは、海軍の1機能、すなわち海軍陸戦隊に近い。米国海兵隊の特徴は、(1)少数精鋭の志願制 (2)緊急展開能力、不測事態への即応態勢に優れている(3)戦力構成のバランスが戦う機能に偏っている(4)国内より国外(遠征軍)に重点をおいている――などである。

 (1)については、「The Few, The Proud」というキャッチコピーを見るまでもなく、20万人という米軍の中で最も少ない戦力に見ることが出来る。(2)については、平時に災害派遣の任務を有しているのは海兵隊である(米国内の災害派遣は、通常州兵が担っている)。(3)については、衛生支援・法務などについて海軍に依存することで成り立っている。そして(4)については、米国海兵隊が平時において国土防衛の任務を持っていないことなどに顕著に表れている。

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