21世紀の今日もなお、新聞や通信社が常用する言葉に「筋」というのがある。「消息筋」「関係筋」「情報筋」等、じつに様々だ。要するに「ちょっとソースは明かせませんけど、確かなネタ元ですよ」といいたいのだろうが、かえってニュースの信頼性が損なわれるような気がしてならない。サウジアラビアと日本がアラビア石油の権益更新をめぐる交渉を進めていた1997年ごろには、某新聞に「交渉に極めて近い民間の石油筋によると……」というナゾナゾのような記事が載っていたのを思い出す。

 筆者が検証した限り、たとえば「外交筋」には、現地日本大使館の書記官や専門調査員などが含まれることがけっこうあった。「~の模様だ」「○○氏が日本のメディアの取材に応じるのは極めて異例」などと並んで、まさにマスコミ用語の生きた化石といえそうだ。

 さて今回は、半年後に迫ったインドの総選挙。メディアが競って報道していることもあり、日本でも、ネール・ガンディー家の御曹司で与党国民会議派のラフル・ガンディー副総裁(43)と、汚職やエネルギー不足を解消して地元グジャラート州に高成長をもたらした最大野党インド人民党(BJP)のナレンドラ・モディ同州首相(63)の一騎打ち――という構図で、経済減速や汚職多発などでガンディー氏率いる与党連合の旗色が悪い、というところまではおおむね浸透しているようだ。

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