「郵政解散」に踏み切り、衆院選で歴史的大勝を収めた小泉純一郎首相は、九月二十一日召集の特別国会で郵政民営化法案を一カ月程度で成立させ、十月下旬にも内閣改造・自民党役員人事を行なう意向だ。 郵政法案を十七票の大差で否決した参議院の議員構成は変わっていないが、参院自民党の造反組三十人(反対二十二人、欠席・棄権八人、うち二人離党)は「小泉旋風」の直撃を受けて総崩れ。「民意」を口実に一斉に賛成に転じる方向となり、郵政政局第二幕も小泉首相の圧勝に終わる見通しとなった。造反から一カ月あまりでの「百八十度の方針転換」は、参院自体の存在意義という深刻な課題を突きつけた。 造反組は衆院の解散直後こそ血気盛んで、選挙戦の最中は首相サイドと激しいつばぜり合いを演じた。八月十七日夜、民営化反対の急先鋒である鴻池祥肇・元防災担当相などを中心に約十人が集まり、郵政法案にあくまでも反対する独自の勉強会を結成することで一致した。造反組には、選挙結果にかかわらず参院で郵政法案を再否決すれば「いかに首相でも同じ理由で立て続けに衆院解散はできないから、いよいよ退陣に追い込める」との甘い読みがあった。「謀議」から三日後の八月二十日。公明党の神崎武法代表が反撃に出た。小泉首相の自民党総裁としての任期は来年九月までだが、神崎氏は、再否決の場合は二〇〇七年夏の参院選で再び国民に直接信を問うため、総裁任期が延長される可能性があることに言及。「次の参院選は小泉首相のもとで行なわれるわけではない」とタカをくくっていた造反組を牽制した。自民党内では「再造反議員は参院選を待つことなく、直ちに除名すべきだ」との強硬論も浮上し、造反組をさらに揺さぶった。

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