アメリカの日本専門家が見た「小泉の勝利」

執筆者:ブルース・ストークス/草生亜紀子2005年10月号

大学で日本政治を教える学者にも“自殺行為”に映ったという解散・総選挙。意想外の結果に終わったいま、専門家はどう分析しているのか。 これは小泉純一郎首相の勝利であって、自民党の勝利ではない――その点で、アメリカの日本専門家の見方はほぼ一致する。「小泉氏は賭けに出て、勝利した。いとも簡単に」と語るのは、戦略国際問題研究所(CSIS)のウィリアム・ブリアー日本部長だ。「改革を優先課題に掲げ、世の中を変えて先へ進もうという空気を作った小泉首相の勝ちだ」と言うのは、米国防大学国家戦略研究所のジェイムズ・プリスタップ上級研究員。 コロンビア大学のジェラルド・カーティス教授もこう語る。「この選挙は小泉首相の『魅力』によって決まった。民主党の敗北は、郵政民営化法案に対案も出さずにただ反対し、自民党が『改革を求める政党だ』と主張するのに何の反論もできなかった失策の結果ではあるが、それ以上に自民党大勝をもたらしたのは小泉氏の魅力だった。 逆にいえば、小泉氏がいなくなった後の自民党がどうなるか、あるいは野党に魅力的なリーダーが出現すればどうなるか。政党支持が少なく、無党派が多い今の日本では一気に形勢が逆転する可能性はある」

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