低迷する半導体業界のテコ入れを狙い、国内大手電機メーカーで組織する電子情報技術産業協会(JEITA)が、次世代半導体の製造技術の開発に乗り出すことを発表した。二〇〇六年度からの五年間に五百億円を投じて、回路線幅が四十五ナノ(ナノは十億分の一)メートルから三十二ナノメートルという半導体の製造に道筋をつけるという。 ところが、このJEITAの計画に早くも暗雲が漂っている。当初、JEITAは半導体各社が共同出資する半導体先端テクノロジーズ(Selete)と、経済産業省系の産業技術総合研究所などによる研究プロジェクト「MIRAI」の統合を検討していた。「民間と国で別々に手がける手間や資金の無駄を省く」(大手半導体メーカー幹部)ためだ。 だが、こうしたJEITAの呼びかけに経産省は難色を示す。経産省の存在感が年々薄まる中、「プロジェクトの統合どころか、国内大手メーカーそのものを統合させ、日の丸半導体を実現することで業界に影響力を残したい」との思惑があることは間違いない。 経産省が主導してきた「ASUKA」「MIRAI」といった既存の次世代半導体開発プロジェクトは目覚しい成果を得ることなく、期限を迎えようとしている。民間側にも韓国サムスン電子など海外大手に対抗する決定打もない。

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