来年日本で開かれる台北故宮の展覧会のため、台北の故宮博物院と、東京国立博物館、九州国立博物館による調印式が今月16日、台北で行なわれた。新聞を中心に各メディア大きなスペースを割いて報道したので、そのニュースを目にした方も多かったと思う。

 ただ、この報道のなかで、いささか奇妙な点があったことに気づいた方はどれぐらいいただろうか。

 それは、展覧会の名称である。今回の展覧会の名称は「台北 國立故宮博物院-神品至宝-」。しかし、各メディアの報道は「台湾の台北・故宮博物院展が開かれる」となっている。一方、日本の新聞社には自社主催のイベントをやる前には紙面で社告によってその内容を告知する習慣がある。一部メディアの社告では「國立故宮博物院」という表現が使われていた。

 読売新聞の17日付け朝刊21面の特設面につけられた展覧会の社告の下に、こんな「おことわり」があった。

「社告にある故宮博物院の表記は、東京国立博物館、台北の故宮博物院、日華議員懇談会が決めたものです。台湾に関する本紙の編集方針に変わりはありません」

 産経新聞も同じ日の16面の特設面の社告横に「おことわり」を掲載し、「展覧会名は公式名称を表記しています」としている。新聞社にとって「おことわり」を出すというのは比較的重要なケースにおいて取られる対応である。

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