在京の外国大使は百三十四人いるが、その中でもエネルギッシュに活動している一人は女性の駐日トルコ大使、ソルマズ・ウナイドゥンさんという点で外務省内の見方は一致する。 二〇〇三年一月に来日してすぐ始まった「日本におけるトルコ年」(〇三―〇四年)では、トルコの若手デザイナーを日本に招いたファッションショーなど相次いで大型企画を実現させた。この二年八カ月に日本に築いた人脈は幅広く、ある外務省OBは「講演をお願いしても、積極的にきてくれます。大使には両国関係をもっとレベルアップしなければという思いが強くあります」と語る。 現在、駐日大使が女性なのはトルコ、マリ、それにルクセンブルク。ルクセンブルクは欧州の国だけに女性の登用は珍しくないが、国民の九九%がイスラム教のトルコで女性大使となるとおやっと思ってしまう。 今年、大使にインタビューした折にそう言うと、笑われた。「トルコ外務省職員千人のうち三百人が女性です。女性大使は十六人います。欧米でもこれだけ女性を大使に起用している国はないと思います」。ちなみに日本は駐イタリア大使と駐ノルウェー大使の二人だけだ。 ただトルコも前からそうだった訳ではない。一九二三年にケマル将軍(ケマル・アタチュルク)が宗教と政治を分離して共和制を採用し、世俗国家となって以降、さまざまな分野に女性が進出した。しかし一番遅れたのが外交分野だったという。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。