パリ近郊の「ディズニーランド・パリ」を運営するユーロディズニーが再建に苦しんでいる。昨年九月に債権銀行団との間で二億五千万ユーロ(約三百四十億円)の増資を軸とした再建策で合意、破綻は免れた。だが、売り上げが思うように増えず、今年六月末までの九カ月の売上高は前年同期より三%増の七億五千五百万ユーロにとどまった。同社は二〇〇五年九月通期の売上高が当初の見込みを下回ることを明らかにした。今期も黒字にならない見通しだ。 九二年に開業したユーロディズニーの年間入場者は千二百五十万人とエッフェル塔の約二倍で、欧州最大を誇る。東京ディズニーランド、ディズニーシーを合わせた二千五百万人には及ばないが、当初心配された「米国文化の上陸」へのアレルギーはなく、フランスでもディズニーのキャラクターは人気がある。 だが、四十三のアトラクションやレストラン、ショップに加え七つのホテルを抱える規模に対し、現在の入場者数と四十三ユーロ程度の客単価では、収益はなかなか上がらない。特に、〇二年に六億ユーロを投じて開業した「ディズニー・スタジオ」の不振が重くのしかかる。 同社の苦境は開業以来十三年間で、トップが五人交代している事実からも浮かび上がる。五月にはカール・ホルツ氏が六代目の社長に就任。同氏はフロリダのディズニー・ワールドやカリブ海を豪華客船で廻るディズニー・クルーズなどを九年間にわたって担当。この起用には米国側の危機感がうかがえる。

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