外国人労働者政策の「改革」を止めるな

執筆者:野嶋剛2005年11月号

「見直し」に圧力をかけた政治家たちがいた。このままでは、本当の高度人材を招ける国にはなれない。いまこそ大胆な改革に着手すべきだ。「日本では売春は合法なのか。合法でないなら、なぜ売春婦を輸入するのか」 七月下旬、ルーマニアの首都ブカレスト。日本政府が人身取引対策として初めて東欧に派遣した政府調査団の一行が訪れた。 政府間協議の席上、ルーマニア側から飛び出した質問に、調査団を構成する内閣官房、警察庁、法務省、外務省、厚生労働省の中堅幹部たちの間に衝撃が走った。 日本では間違いなく売春は非合法ですと、かろうじて答えた日本側を、ルーマニアの担当官は皮肉たっぷりに突き放した。「日本に普通に入国しようとすると、入国審査は非常に厳しい。しかし、売春婦には数日とかからず、ビザがどんどん下りる。ですから、売春が合法だと思ったのです」 昨年、ルーマニアから六千八百人が来日し、うち六割以上の約四千五百人が「興行ビザ」を取得した若い女性たちだった。ウクライナからも四千人中二千百人、ロシアからは五万人中五千人がそれぞれ興行ビザで来日した。興行ビザは芸能人やプロスポーツ選手を対象に発給される入国資格だが、東欧諸国から興行ビザで大挙して来日した女性の大半は「ダンサー」であり、現地ではストリッパーとして事実上の売春婦と認識されている。彼女らは当然、日本でダンスは披露せずに各地の風俗店などでホステスとして働き、「ダンサー」という資格は有名無実化している。

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