バリ島自爆テロ犯は「第三世代テロリスト」か

執筆者:竹田いさみ2005年11月号

 バリ島の爆弾テロ事件は、イスラム過激派「ジェマ・イスラミア(JI)」の関与が濃厚だ。インドネシア政府はJI犯行説を主張している。JIは東南アジアにおけるアル・カエダ系の広域テロ組織。計画性、組織性、同時多発性は、アル・カエダ系テロ組織に共通の特色だ。 なぜバリ島を狙ったのか。インドネシアを代表するリゾート地も、イスラム過激派から見れば欧米の退廃した文化の象徴に過ぎない。インドネシアでイスラム国家を実現するために、JIは昨年就任したユドヨノ大統領を揺さぶる。ユドヨノは米国留学経験もあり米国とのパイプが太いことで有名だ。インドネシアの安定と繁栄のシンボルであるからこそ、バリ島をJIは再び標的にしたと考えてよい。 今回のテロ事件の特質は、自爆テロ方式が東南アジアに本格的に持ち込まれたということだ。ジャカルタのオーストラリア大使館が昨年九月に狙われたのが自爆テロの幕開けだった。バリ島事件の犯行直前のビデオ映像を見る限り、若年層の自爆テロ要員が養成されていることが窺える。JIは第三世代のテロリストを最前線に投入し始めたのではないだろうか。これまでアル・カエダは中東・アラブ系のテロリストを使って自爆テロを繰り広げてきたが、こうした手法が東南アジアにも本格的に導入されたと考えられる。

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