汚職や選挙不正などの疑惑により支持率の低迷にあえぐペルーのトレド大統領が、来年七月末の任期切れ前にも国外に政治亡命するのではないかという観測が流れている。 首都リマの消息筋によれば、トレド大統領は、来年七月二十八日のペルー独立記念日に新政権が発足すれば、在任中の自らの不正疑惑に対する司法当局の追及は避けられないと判断、国外亡命の準備を始めている。 トレド大統領自身に二〇〇一年の大統領選での買収工作や汚職の嫌疑が持ち上がっているほか、エリアン夫人の公金流用、実弟の事業への不正便宜供与などの疑惑も出てきた。最も深刻なのは大統領選に際しての不正選挙登録(政党登録に必要な有権者の署名の偽造)疑惑で、新政権下で訴追されれば、トレド氏の有罪は必至といわれる。 大統領はブラジル亡命を希望しており、この夏密かにルラ大統領に打診したものの、よい返事が得られなかったという。そのため、リマの外交筋の間で最近有力視されているのが、イスラエルへの亡命説。 エリアン夫人はユダヤ系でヘブライ大卒。ヘブライ語に堪能で、イスラエルに友人・知人が多い。トレド大統領が五月末、夫人など家族を連れてイスラエルを訪問し、各地に足を運んだことも、イスラエル亡命説の背景となっている。

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