六本木ヒルズの自動回転ドア事故で元常務に有罪判決が出た森ビル。燻り続けてきた経営問題にも、あらためて注目が集まっている。 物件の自社保有にこだわってきた森ビルは、非上場のため資金調達は金融機関からの借入に依存している。しかし年間売上高の四倍にあたる六千五百億円もの有利子負債を抱えており、景気回復にともなって金利が上昇すれば、資金繰りが厳しくなることは避けられない。 実際、森ビルの取引銀行各行は、これまで森稔社長の顔を立てて無担保融資に応じていた姿勢を改める方向だ。一部には同社の債務者区分を「破綻懸念先近くまで落とし、引当金を積み増した」(大手銀行幹部)ところもあるという。 そんな中、森ビルは不動産投資信託(REIT)への参入を打ち出した。REITへ物件を売却すれば、その収入を借入金返済に充てることも可能。「銀行借入が難しくなってきたため、REITで資金調達する思惑」(金融業界関係者)と見る向きが多い。 上海に世界で二番目に高い超高層ビルを建設しているなど意気は盛んな森ビルだが、低金利環境を支えてきた日銀の量的緩和政策は来春にも解除が予想されている……。

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