自国優位の現行規格に安住してきた米国が、ついにIPv6導入に本腰を入れ始めた。軍事技術革命とIT革命は軌を一にして新局面へ。[ワシントン発]米政府がインターネットの次世代通信規格「IPv6」の導入に本腰を入れ始めた。ホワイトハウスが今夏、二〇〇八年六月末までのIPv6への全面的な移行を全省庁に指示。首都ワシントンやその周辺では最近、IPv6に関するセミナーやフォーラムが相次いで開催され、いずれもにぎわっている。 九月十五日昼に市内で開かれたそうした会合では、一人の女性が出席者全員の注目を集めた。ホワイトハウス行政管理予算局(OMB)の高官で、米電子政府計画推進の責任者であるカレン・エバンズ氏だ。エバンズ氏こそが米政府のIPv6全面切り替え計画を打ち出した旗振り役。八月初めに彼女の署名入りで各省庁に送られた覚書では、(1)米政府のすべての省庁は〇八年六月末までに新規格への移行を終える(2)各省庁は〇五年十一月までに移行計画の責任者を指名し、移行に必要な予算をOMBまで報告する――などのスケジュールも示し、各省庁に実施を求めていた。 IPv6とは「インターネット・プロトコル・バージョン・シックス」の略称で、ネットで情報をやりとりするための国際通信規格の一つだ。現在の主流であるIPv4に代わる次世代規格として、世界各国で導入が進み始めている。

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