セミナーで決意したシリコンバレーへの恩返し

執筆者:梅田望夫2005年11月号

 九月十六日、東商ホールにて「ウェブ社会『大変化』への正しい対応・間違った対応」というテーマのフォーサイトクラブ・セミナーに講師として参加した。私は一般向け講演を何年かに一度しかしないので、五百人を超える聴衆を前にひどく緊張した。本誌読者に加え、ネット経由でセミナーの存在を知った若い世代からの応募が数多くあったため、当日の聴衆には著しいばらつきがあることが予めわかっていた。そのことを念頭に、内容や構成を何週間も前から考え、当日話し始める直前まで頭の中でシミュレーションを繰り返していた。質疑応答も含めた二時間はあっと言う間に過ぎていき、終ったときには疲れ果てて、身体にはもう何も残っていなかった。当日の様子を収録したCDが次号に添付されて本誌購読者のお手元に届くとのこと。どうぞお楽しみに。 講演の最後で私は、六月号巻頭「ウェブ社会『本当の大変化』はこれから始まる」で詳述した「大変化」に対応する原則として次の七項目を提示した。(1)アナロジー(類推)で考えてはいけない。(2)「ムーアの法則」を信じ「おっちょこちょい」であれ。(3)Only the Paranoid Survive(極度な心配性だけが生き残る)。(4)「時間の使い方の優先順位」を変えないと何も変わらない。(5)新しい現象に対し「古い感覚を総動員した理論武装」で戦うな。(6)若い人に教わることを忌避するな。(7)Never Too Late(決して遅すぎることはない)。

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