「普天間問題」解決のチャンスは今しかない

執筆者:渡部恒雄2005年11月号

米軍の世界的なトランスフォーメーションの中で、日本の“価値”はかつてなく高まっている。この好機を生かせるかは「政治の意思決定」次第だ。 衆議院解散から間もない八月中旬、米国防総省のローレス副次官とヒル上級日本部長が急遽来日した。両氏は在日米軍再編協議の米側担当責任者だ。九月に予定された同協議の中間報告が総選挙の煽りで延期確実となり、日本側の政府担当者と政治家を訪問して今後の対応を協議することが、この慌ただしい来日の目的だった。 在日米軍再編は三つの段階に分けられる。今年二月の日米安保協議委員会(2+2)で共通戦略目標の合意という第一段階はクリアされた。しかし第二段階にあたる米軍と自衛隊の役割・任務の分担、そして第三段階の在日米軍基地再編・再配置への道のりは、依然として暗中模索が続いている。 こうした中でローレス、ヒル両氏が自民党の山崎拓前首相補佐官(肩書きは当時、以下同)、久間章生総務会長、額賀福志郎安全保障調査会長、石破茂前防衛庁長官、そして民主党の前原誠司「次の内閣・防衛庁長官」といった与野党の有力議員と直接面談の機会を持ったのは、事態打開には日本側の政治的イニシアチブが不可欠だと米政府が強く意識しているからである。

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