実は日本全国で五百万人以上の患者がいる第四の生活習慣病COPD。喫煙者の二割近くがかかるこの病気の実態と予防策を聞いた。 喫煙者が最も気にする病気といえば、肺癌。だが、肺癌以上に多くの人がかかり、本当はもっと心配しなければならない病気がある。 COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease=慢性閉塞性肺疾患)――この聞き慣れない病気は、糖尿病、高血圧、高脂血症に次ぐ「第四の生活習慣病」といわれ、二〇二〇年には死因の第三位になると予測されるほど増加傾向にある。最近、鼻の中にビニールチューブを入れボンベから酸素吸入しながら街を歩く人の姿もよく見かける。これもまた肺を患う人が増えた証拠だろう。COPDの増加に伴い寝たきりの人が増え、医療費負担も増大するなど社会問題化することも予見される。どんな人がかかるのか? 予防法や治療法はあるのか? 呼吸ケアを専門とし、この病気に詳しい日本医科大学の木田厚瑞教授に聞いた。COPDは全身の病気――COPDという病名を最近、はじめて聞きました。木田 慢性的に気管支が狭くなる病気のことで、慢性気管支炎と肺気腫をあわせてCOPDと呼びます。でも、医療関係者の中でもこれを知らない人がまだ多いし、気管支喘息と混同している人がいる。一般的に気管支炎は耳にします。そして、たばこを買うと箱には「肺気腫を悪化させる危険性を高めます」という警告文がある。正確には「COPDになる恐れがあります」と書くべきなのですが、なじみがないせいか財務省は肺気腫と表記しているようです。中身は厚生労働省、外箱は財務省の管轄ですから。

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