両国の思わぬ急接近の背景には、北海油田枯渇でエネルギー域外依存度が高まる欧州を見越したロシアの戦略がある。[モスクワ発]九月十六日、世界最大の天然ガス会社であるロシア国営ガスプロムは、バレンツ海にある巨大ガス田「シュトックマン」開発事業への参加候補企業を発表した。シュトックマンはロシア北西端のコラ半島から五百五十キロ沖合の海底に眠るガス田だ。厳寒の北極圏での開発費は最低二百億ドルと見積もられ、その採算性が疑問視されたこともあった。が、原油やガスの相場急騰で世界の石油メジャーは同事業への参画を一転熱望、ロシア政府に積極的に働きかけていたのだ。 LNG(液化天然ガス)でなら北米市場も狙える。何よりも三兆二千億立方メートルという埋蔵量は、世界最大の消費国である米国の消費量の五年分、EU(欧州連合)なら七年分と桁外れに大きい。そんなビッグディールを見守っていた欧米エネルギー業界関係者の話題を呼んだのは、参加候補五社の中に、米シェブロンや仏トタルに伍して世界的には準大手クラスにすぎないノルウェー企業が二社含まれていたことだ。参加候補に選ばれた同じ準大手でも、米コノコフィリップスはプーチン政権に近い石油大手ルクオイルと資本・技術提携し、政権と親密な関係を築いたことで知られている。

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