ドバイ郊外に出現した巨大チャイナタウンの謎

執筆者:竹田いさみ2005年11月号

 真夏のアラビア半島では、日中、道路で通行人を見かけることはない。気温が四十五度から五十度に達する炎天下のため、とても歩けるような状態ではないからだ。夜になると気温が低下し、ホッとして温度計を覗くとまだ三十八度。日本の最高気温がここでは最低気温だ。 お金持ちのアラブ人は家族そろって避暑に繰り出し、パリやロンドンに長期滞在する。豪華な住居をパリに所有している者もいれば、高級ホテルを常宿にする者もいる。そういえば以前、パリ市内のホテルでサウジアラビア人の実業家ファミリーと朝食を共にしたことがあった。 アラビア半島からは有力なアラブ人実業家がこぞって海外に脱出しているため、ビジネスも低調にならざるをえず、ホテルは閑散とする。真夏の閑暇期を乗り越えるため、ホテルは割引合戦を強いられる。アラブ首長国連邦(UAE)の商業都市ドバイでは、通常レートの半値か三分の一にまで下げるホテルが続出する。エッフェル塔よりも高い世界一の高層ホテル「バージュ・アル・アラブ」を売りものにするジュメイラ・インターナショナルも例外ではない。いくつもの高級ホテルを経営するが、その旗艦店エミレーツ・タワーズ・ホテルも三分の一にまで値引きしていた。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。