十月二十九日「金正哲」と対面した胡錦濤

執筆者:藤田洋毅2005年12月号

北朝鮮は、金正日の次男への権力継承をついに決定し、中国に通告していた。胡訪朝の真相を明かす。「公式には初めてのお披露目ですよ。最高の礼節をもって対応し、可能な限りの礼物(プレゼント)を携えました」――中国筋は、ことさらに“礼”を強調する。十月二十八日から三十日まで胡錦濤総書記(国家主席)が北朝鮮を訪問したが、事実上の最大の目的は、金正日総書記の次男、金正哲との面会だった。訪朝二日目の二十九日、胡は金総書記同席のもと、平壌で金正哲と会い言葉を交わしたという。 詳細な時期は不明だが、中国共産党中央・国務院の中堅幹部や先の中国筋によれば、「今年の夏ごろ、遅くとも秋口」までに、北は中国に金正哲を後継者に決定したと「正式に通告」してきた。 後継者が誰になるかは、さまざまに取り沙汰されてきた。金正日の長男・正男は、日本に不法入国するなどの行状から、一時は後継から外れたといわれたが、逆に有力説が流れたりもした。腹違いの弟の次男・正哲と三男・正雲のほうが父親の意向に近いとも見られたが、いずれになるかの決め手を欠いていた。北朝鮮にとって最大の「後見人」たる中国への通告こそが、何よりも確度の高い裏付けとなる。

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