フランスに漂う不満のガスに点火したサルコジ内相

執筆者:アダム・セージ2005年12月号

彼の現状打破の訴えは正しかったのだ。しかし、口が災いし、全土に暴動を広げてしまった。根本的な解決への道は遠い。[パリ発]フランスの野心ある政治家にとって、内相は避けて通りたいポストだ。突如、何の予兆もなく起きる怒りの爆発が、この国の歴史には香辛料のようにつきまとう。そんな時、最前線で“犠牲”となるのは、内相と決まっているからだ。 だが、ニコラ・サルコジは自ら選んで内相となった。一度ならず、二度までも。彼は並の政治家とは違うところを見せたかった。他の政治家が避けて通る難しい問題に正面から立ち向かう、強い指導者であることを示したかったのだ。 内相というポストは、二つの意味でサルコジの長期目標達成に役立つはずだった。ひとつは時代遅れになったフランスの社会経済モデルを改革すること。そしてもうひとつは、自らの大統領への道を開くこと。 二〇〇二年から〇四年までの一期目は成功した。犯罪発生率は八%下落し、有権者は彼の強硬姿勢を歓迎して支持率は上昇した。しかし二期目に入ると、このポストの恐ろしさが顔を覗かせてきた。 十月末、中道右派の与党・国民運動連合(UMP)党首でもあるサルコジ内相が、パリ郊外の公共住宅街を視察した際、複数の若者から瓶を投げつけられた。怒ったサルコジは、フランスから「クズ」を一掃してやると発言した。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。