郵政民営化法の成立で、日本郵政公社の動きに注目が集まっている。十月末、オランダのTNTポストとの提携を発表。両社は来年四月をめどに合弁会社を設立し、国際宅配便サービスでのシェア拡大を目指す。この分野では陸海空一貫態勢を築いている海外勢の優位が明らかだが、郵政公社はアジア市場参入に出遅れていたTNTと手を組んで巻き返しを図る構え。 ただ、関係者の間では「郵政公社はこれだけでは満足しない」との見方が支配的だ。郵政公社は先に、全日本空輸と共同で貨物機運航会社を設立することも決めた。全日空の貨物機で中国・北米向け定期便を飛ばし、海外勢に対抗しうる一貫態勢構築に動いた格好だ。 もっとも、焦点は国内市場。「組むならやはり国内大手。日の丸物流会社として存在感を示したい」(郵政公社幹部)というのが公社の“野望”で、宅配便やメール便で提携済みの日本通運と「水面下で話し合いを持っている」(別の郵政公社幹部)という。日通にとって郵政公社はライバルだが、国際物流分野において、郵政公社経由で全日空と組めるメリットは大きい。 郵政公社は生田正治総裁の出身母体である商船三井にも触手を伸ばしている様子。「空・海の輸送手段を確保した上でライバルを自陣に引き込む」(関係者)戦略だというが……。

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