インド州議会選「国民会議派大敗」の複合的要因

執筆者:緒方麻也2013年12月14日

 2014年春に迫ったインド次期総選挙の「準決勝」と位置付けられたデリー準州、マディヤプラデシュ州、ラジャスタン州など5州の地方議会選(投票は11月末-12月上旬)が12月8、9日に一斉に開票され、中央与党の国民会議派は東北部の小州ミゾラムで勝利したものの、他の4州でいずれも大敗を喫した。敗因としては、経済成長の減速や汚職の多発、先頭に立ったラフル・ガンディー党副総裁の指導力の欠如など様々な要因が考えられる。これにより、強力なリーダーとして広く認知されたナレンドラ・モディ・グジャラート州首相を押し立てる最大野党インド人民党(BJP)が10年ぶりの政権奪回へとまた一歩近づいたと言える。だが、全国レベルの総選挙となるとまた話は別。地方政党の動向や選挙後の合従連衡も含めて様々な不確定要因があるため、BJPがすんなりと政権交代を実現できるかどうかはまだ予断を許さない。

 

「汚職への手ぬるい対応」

 国民会議派はデリー(改選議席70)で前回(08年)選挙での43議席から一気に8議席へと転落、過半数には届かなかったもののBJPは31議席、社会活動家アンナ・ハザレ氏の右腕として汚職追放運動で名を上げたアルビンド・ケジリワル氏率いる庶民党(AAP)が初陣ながら28議席を獲得した。2010年の英連邦競技大会(コモンウェルス・ゲームズ)を巡る汚職などで、有権者が権力の腐敗に敏感になっていたことが大きな要因と見られる。

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