最新の予測実験によると、二十一世紀末の世界全体の熱帯性低気圧の発生数は約三割減るものの、強度(最大風速)や降水量は現在よりも増す傾向があることがわかりました。気象庁、気象研究所や地球科学技術総合推進機構を中心とする日本の研究グループが、約二十キロという非常に高い水平分解能をもつ気候モデル(気候の状態をコンピュータ上で再現したもの)を使ってスーパーコンピュータ「地球シミュレータ」の上で行なった実験の結果です。 この予測実験と用いた気候モデルは異なりますが、最近気象庁が発行した「異常気象レポート」によると、二一〇〇年ごろには、日本でも最高気温が三十度を超える真夏日や最低気温が二十五度以上の熱帯夜が現在よりも増え(北海道・東北地方では十五日前後、関東、近畿以南では二十日前後、九州南部や南西諸島では三十日前後)、逆に最低気温が零度未満の冬日が減少(本州で三十日以上、北海道では五十日以上)し、また一日の降水量が百ミリを超える大雨の日が多くの地域で年間一日以上増えるという結果が出ています。梅雨も長引く可能性があります。 台風に関していえば、過去の観測記録によると一九六〇年代半ばと九〇年代初めに増えた以外、九〇年代末以降の発生数は平年の二十六・七個を下回ることが多かった。また最大風速が秒速三十三メートルを上回る強い勢力のまま日本に到達した台風の数も、十個も上陸した昨年と上陸がなかった二〇〇〇年を除くと変動に明確な傾向はないと報告されています。

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