いまだ捕縛されざる三人の極悪テロリスト

執筆者:黒瀬悦成2005年12月号

東南アジアでテロが続発するのは、当局の知らない「新世代テロリスト」が養成されているからだ。背後には神出鬼没の「旧世代」がいる。[ジャカルタ発]十一月九日、「東南アジアで最も危険な男」と呼ばれていたテロリストが壮絶な死を遂げた。過去に国際テロ組織アル・カエダとの連携が判明している東南アジアのテロ組織ジェマア・イスラミア(JI)のマレーシア人上級幹部、「ドクター・アズハリ」ことアズハリ・ビン・フシン容疑者が、東ジャワ州の隠れ家に潜んでいたところを警官隊に射殺されたのだ。 アズハリの遺体は、一緒にいた仲間が自爆死したのに巻き込まれ、バラバラの状態で見つかった。爆弾製造専門家であるアズハリの死で、JIのテロ遂行能力が一定の支障を来すのは確実。警察は現在、アズハリの“盟友”で、自爆テロ要員のスカウトに天才的手腕を発揮するJI上級幹部のヌルディン・ムハンマド・トプ容疑者の追跡に全力を挙げている。 両容疑者は、二百二人が死亡した二〇〇二年十月のバリ島爆弾テロの主犯格として国際指名手配された。警察当局の調べでは、日本人一人を含む二十三人が死亡した今年十月一日のバリ島同時爆破テロを首謀したほか、〇三年八月のジャカルタの米系高級ホテル「J. W. マリオット」爆破テロ(死者数十二人)、〇四年九月のオーストラリア大使館前爆破テロ(同九人)も首謀したとされる。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。