12月24日早朝にエジプト北部ダカハリーヤ県の県都マンスーラの県警察本部前で大規模な自動車爆弾が爆発した。15人死亡・134人負傷、といった報道が流れている。アラブ諸国の中で安定の礎となってきたエジプトがテロと武力弾圧の応酬に陥れば、中東の不安定化は極まる。

 エジプトの混乱はこれまでシナイ半島北部に限定されてきたが、これがスエズ運河を超えて、エジプトのいわば「本土」つまり、人口密集地のナイル・デルタ地帯(今回の事件の起きたダカハリーヤ県を含む)に及ぶという方向性が、容易に覆し難くなってきている模様だ。エジプト「本土」への混乱の拡大の兆候は、9月5日の内相暗殺未遂事件の際に本欄でも記しておいた(2013年9月6日「エジプト内相暗殺未遂事件の深刻さ」)。その後相次いで同様の事象が生じていた。今回はその中でも最大の規模であり、政治的に大きな帰結をもたらしかねない。

「アンサール・バイトル・マクディス(聖地エルサレムの支援者たち)」の犯行声明

 内相暗殺未遂事件で犯行声明を出したのが、アンサール・バイトル・マクディス(聖地エルサレムの支援者たち)を名乗る武装集団だった。22日にはエジプトの軍・警察との全面対決を宣言する声明を出していたため、今回の事件もこの集団の犯行かとの観測が高まる。24日午後には今回の事件への犯行声明が出たという報道もある。

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