好調「タイ経済」を揺さぶる政治混乱の行方
2013年12月28日
12月9日、タイのインラック首相は下院の解散を発表した。反政府勢力がバンコク市内各所で続ける政府機関庁舎の占拠やデモの拡大に手を焼き、手を打たざるを得なくなったわけだが、決して追い込まれていたわけではない。解散には2つの理由があっただろう。
1つは、比較的好調な経済への打撃を回避する狙いだ。2013年のタイ経済は前年に比べれば、減速した。12年は通年で6.5%の成長率だったが、13年1-3月期は5.4%、4-6月は2.9%、7-9月期は2.7%にまで減速した。13年通年では3.0%前後の成長と見込まれている。
だが、これをもってタイ経済に急ブレーキがかかっているとは即断できない。タイの成長率は07年以降をみると、5.0%→2.5%→▲2.3%→7.8%→0.1%→6.5%と、ジェットコースターのような激しい上下動をしてきたからだ。08年のリーマンショック、11年の大洪水などで落ち込んだものの、そのたびに復活してきた。経済の基礎的条件(ファンダメンタルズ)はしっかりしているからだ。失業率は世界で最も低い国の1つで、13年9月時点で0.7%。ほぼ完全雇用といってよい状態だ。
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