アフマディネジャードを支持しているのは誰か

執筆者:田中浩一郎2006年1月号

大統領に対する強硬派の支持は根強い。核問題交渉をめぐる思わぬ“勝利”に我が意を得たりと、さらなる強硬路線を歩む懸念も。 十二月十一日、イラン国会がバジリハマネ石油相代行の石油相就任を承認し、イランの全閣僚メンバーが政権発足四カ月にしてようやく確定した。アフマディネジャード大統領が指名した石油相候補は四人目。汚職一掃を公約に掲げて大統領選を戦い、大衆の支持を得たアフマディネジャードにとって、旧来の利権の絡む石油相の人選で躓いたことは無念であったはずだ。 定数二百九十のイラン国会の中で、「保守派」とされる議員の数は二百程度を占めている。政治的立場を色分けすれば同じく「保守強硬」とされる大統領が今これだけの逆風に遭っていることは、イランの内政がハタミ前大統領時代の「保守対改革の二極対立」から大きく変化したことを示している。 ただ、六月の大統領選挙の決選投票では快勝したアフマディネジャードも、第一回投票での得票数は保守派の基礎票とされるものに遠く及ばなかった。数々の汚職への関与が囁かれるラフサンジャニとの一騎打ちでは若さと清廉なイメージで貧困層などの票を上積みしたが、本来、アフマディネジャードの権力基盤は保守層においても脆さを持つ。

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