米国はこのほど、イランがカスピ海沿岸諸国に大量破壊兵器の拡散を図る事態を想定して、その防止のための多国籍机上演習を実施した。この演習には、カスピ海沿岸のアゼルバイジャン、カザフスタン、トルクメニスタンに加え、黒海周辺のブルガリア、グルジア、モルドバ、ルーマニア、トルコ、ウクライナが参加。十月と十一月の二回実施されたもようだ。 参加国の関係者によると、机上演習は「ロシア南方に位置するカスピ海沿岸の数カ国が、テロ支援国家である『パープル国』によって兵器拡散の脅威にさらされた」とのシナリオに沿って行なわれた。「パープル国」がイランを指すことは明らかだが、米海軍筋によると、無用の刺激を避けるため、直接的な言及を控えたという。 演習では「パープル国」からの大量破壊兵器をカスピ海で阻止する方策や各国の沿岸警備隊の連携行動などが試された。 米軍事アナリストは「石油資源の豊富なカスピ海地域は米国にとって重要で、対イラン戦略の観点から沿岸諸国と結びつきを強化するのが演習の狙い」と説明する。しかし、米海軍筋によれば、肝心のロシアはイランに配慮して参加しなかった。

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