中国の「月面探査」は「無謀な軍拡」か

執筆者:高村悟2014年1月12日
 何用あって月に行く? (C)AFP=時事
何用あって月に行く? (C)AFP=時事

 昨年12月2日、中国は月面探査機「嫦娥(じょうが)3号」を四川省西昌衛星発射基地から打ち上げ、6日には月の周回軌道に入り、14日に月面の「虹の入り江」に着地した。その後、月面探査車「玉兎」を月面に降ろし、月面探査が始まった。打ち上げ、月までの飛行、周回軌道からの着陸、探査車の操作、途中の写真やデータの送信などはきわめてスムーズで、中国の宇宙技術の高さを十分にうかがわせるものだった。月面に物体を地球から送り込んだのは米国、旧ソ連に続き3番目であり、日本やドイツ、フランスなどが成し遂げていないことを実現したことは評価できるだろう。

 だが、自動車、エレクトロニクスはじめ大半の産業分野で外資からの技術導入に依存し、自前技術というほどのものがほとんどない国が、月に探査機を送り込む技術開発に熱を上げることに何の意味があるのか? 1人当たり国内総生産(GDP)が6000ドルを超えたとはいえ、内陸農村では貧困にあえぐ農民がいる国で、科学技術の成果をぶち上げたところで国民が喜ぶのか? 大都市の多くで大気汚染が危険な水準まで悪化している国で宇宙開発を優先すべきなのか? 中国の宇宙開発には様々な疑問が沸いてくる。

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