「陳さんを地盤から引きはがす決意は、ますます固くなっています」――中国筋は、胡錦濤総書記が、上海市のトップ・陳良宇党委員会書記(政治局員)を異動させる方針は揺るがない、と明言した。 陳の人事をめぐっては、〇五年春から天津市党委書記や総工会主席への転出が噂されてきた。だが、江沢民前総書記の威光を借り陳は頑強に抵抗し、天津側も受け入れを渋ったため難航。加えて、陳の後任に予定していた劉延東・党中央統一戦線工作部部長が「私は経済を主管した経験がありません」と、やんわりと上海行きを辞退したため、暗礁に乗り上げたとの観測も出ていた。 同筋によると、胡は自分の政治基盤である共産主義青年団(共青団)出身の李源朝・江蘇省党委書記(党中央委員候補)を上海に送り込む案までちらつかせている。上海のナンバー2、韓正・市長(中央委員)との党内序列が逆転するが、李・韓とも共青団閥で「問題はない」という。一方で、問題の陳は、「西部大開発の要」との触れ込みで政治局員ポストの新疆ウイグル自治区書記か、格下の甘粛省書記に回す方向で党内調整を始めた。 並行して天津市の人事も調整する見込み。天津のボス・李瑞環(前政治局常務委員)と江沢民の対立の煽りを受け、李瑞環直系の張立昌・書記(政治局員)は手腕を発揮できなかった。開明的な李瑞環を一貫して高く評価してきた胡は、張立昌を総工会主席に回すことで李瑞環への配慮を示す手はずだという。

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