どうする気か日中関係

執筆者:2006年1月号

 ブッシュ米大統領と紅葉の京都でデートとしゃれのめした小泉純一郎首相は「日米関係がいいからこそ、中国や韓国との関係もいい」と言い放った。強がりを言っている風でもない。本気でそう思っているのだとしたら、われわれは大変な人物を国家運営の最高責任者にいただいてしまったものである。中国はマレーシア・クアラルンプールでの東アジアサミットの際に予定していた日中韓の首脳会談開催を中止すると発表した。その理由は「そういう雰囲気にない」。 原因は明らかに小泉首相が十月の秋の例大祭初日に行なった靖国神社参拝である。中国は強硬姿勢を示すことによって日本の世論がどう反応するか、また小泉首相がどういう対応をするのかを見つつ、麻生太郎外相、安倍晋三官房長官らポスト小泉を窺う政治家にメッセージを込めたという意味合いもあるだろう。いかに中国といえども、これで小泉サイドが態度を変えるなどと思ってもいないだろう。 中国は十一月、韓国・釜山でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)の際の小泉首相と胡錦濤国家主席の会談も拒否している。もはやここまで来てしまっては、中国や韓国の言うとおりに靖国参拝を中止すべきだという主張もあまり説得力がなくなっている。このまま参拝を強行し続ければ、中国や韓国との関係がいったいどこまで悪化するのか、確かめてみたい気もする。

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